周知の埋蔵文化財包蔵地│群馬県前橋市の場合
群馬県前橋市で家づくりの計画をすすめている建設予定地が、埋蔵文化財包蔵地内にあるとの回答がありました。
住宅の建設予定地が埋蔵文化財包蔵地内にあるか否かの確認は重要です。
群馬県前橋市で周知の埋蔵文化財包蔵地の照会とその対応についてお伝えします。
※以下は群馬県前橋市(2020年8月時点)の事例です。群馬県前橋市で周知の埋蔵文化財包蔵地の照会及び対応をされる場合は、最新の情報を確認してから行ってください。
■埋蔵文化財包蔵地とは
埋蔵文化財包蔵地は、正確には「周知の埋蔵文化財包蔵地」というそうです。
周知の意味は、『広く人の間に知れ渡ること』ですから、直訳すれば「文化財が埋まっているとわかっている土地」ということになります。
ウィキペディアによると、
周知の埋蔵文化財包蔵地とは、「地中に埋蔵された状態で発見される文化財」を包蔵する土地、またはその範囲のこと。
法律用語だが、考古学用語のいわゆる「遺跡」に最も近い概念である。
文化庁によると、貝塚や古墳、城跡、都城などの遺跡≒埋蔵文化財包蔵地は全国におよそ460000箇所存在するとされる。
とあります。
■周知の埋蔵文化財包蔵地の調べ方
周知の埋蔵文化財包蔵地は、通常、市町村の教育委員会が作成する遺跡地図および遺跡台帳において、その区域が明確に表示されています。
建設予定地が埋蔵文化財包蔵地内に該当するか否かは、インターネットで調べることもできますが、遺跡地図および遺跡台帳が、その市町村内のすべての「周知の埋蔵文化財包蔵地」を登載しているとは限りません。
そのため、遺跡地図および遺跡台帳に登載されている遺跡の区域以外の土地であっても、その地域社会において遺物や遺跡が埋もれていることが認識されている土地もまた「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当するので、市町村の教育委員会に周知の埋蔵文化財包蔵地を照会したほうが無難です。
土地の建設要件を調べるために該当する市町村の役所にいくと、建築関係の担当部署は一つのフロアや建物などに配置されていますが、周知の埋蔵文化財を管理する教育委員会は全く別のフロアや建物にあることが多くあります。
前橋市の場合も同様に、建設関係の担当部署は前橋市役所(群馬県前橋市大手町2丁目12−1)にありますが、周知の埋蔵文化財包蔵地を確認するための教育委員会は、群馬県前橋市総社町3丁目11-4にあります。
車で移動すればさほど離れた距離でもないので、周知の埋蔵文化財包蔵地を確認するために、前橋市役所にいったついでに教育委員会に行こうと思いました。
周知の埋蔵文化財包蔵地を照会する場合、土地の特定のために地図などで確認することが必要になることが多いので、直接窓口に行かないと回答がもらえない場合が、過去にあったからです。
時間が17時近くなり、周知の埋蔵文化財包蔵地の担当者が不在のこともあると思い、念のため電話をしてみると、周知の埋蔵文化財包蔵地の担当者が会議中とのこと、直接来てもらっても時間がかかると思うので、FAXで問合せしてくださいとの返事。
照会用の書式は、前橋市役所のサイトからダウンロードできます。
FAXの方が便利と思い、後日FAXで埋蔵文化財包蔵地の照会をしました。
■建設予定地は周知の埋蔵文化財包蔵地内でした
翌日、前橋市教育委員会事務局文化財保護課より返信のFAXがあり、建設予定地が周知の埋蔵文化財予定地内であるとの回答をいただきました。
周知の埋蔵文化財包蔵地の番号は、『前橋市○○○○遺跡』とのこと。
※○○は番号です。位置の特定を防ぐために、あえて伏せさせていただきます。
建設予定地が周知の埋蔵文化財包蔵地内とのことなので、前橋市教育委員会の周知の埋蔵文化財包蔵地の担当者に電話をし、次の対応について確認しました。
周知の埋蔵文化財包蔵地内の場合、埋蔵文化財の試掘・調査をすることもあります。
今回の場合は、埋蔵文化財の試掘・調査をせずに埋蔵文化財の発掘(工事)届を出してくれればよいということでした。
埋蔵文化財の申請書のページの『質問&回答>質問3』の項目の答えに、
「工事に伴う掘削が浅く、埋蔵文化財に及ぼす影響が少ない場合は、発掘調査を実施する必要はありません。工事によって埋蔵文化財に影響を及ぼす恐れがある場合や道路等恒久的な工作物を造る場合は、まず試掘・確認調査を実施し、埋蔵文化財の有無や範囲を確認のうえ、発掘調査の要否を判断します。」
とありました。(前橋市役所 埋蔵文化財申請書のページより)
今回のケースは、このパターンに該当したようです。
■埋蔵文化財の発掘(工事)届の提出は延期です
埋蔵文化財の発掘(工事)届を作成するにあたり、遺跡の内容を調べました。
「埋蔵文化財の発掘(工事)届」には、遺跡の概要を記載する項目があったのですが、前橋市教育委員会から来た周知の埋蔵文化財包蔵地の回答には、遺跡番号は記載してありましたが、具体的な内容はなかったからです。
周知の埋蔵文化財包蔵地を調べるために利用したのが、『マッピングぐんま 遺跡マップ』です。
前橋市教育委員会から通知のあった、周知の埋蔵文化財包蔵地の番号を入れて検索すると遺跡の概要がわかりました。
・時代 旧石器、縄文、弥生、古墳、奈良、平安、中世、近世
・種別 集落
ちなみに、日本列島における旧石器時代とは、人類が日本列島に移住してきたときにはじまり、終わりは16000万年前と考えられているそうです。(ウィキペディアより)
建設予定地は、少なくとも16000万年前から人類が住み続けていた場所のようですね。
埋蔵文化財の発掘(工事)届の書式を前橋市の埋蔵文化財申請書のページからダウンロードし記入していくと、地盤改良の有無を記入する箇所がありました。
『未定』の項目もあったので、未定のまま埋蔵文化財の発掘(工事)届を作成し、提出してしまってもよかったのですが、地盤調査は1週間後の予定だったので、地盤調査の結果が出てから提出することとし、その項目を除いて添付資料を用意して、いったん作業を停止しました。
■周知の埋蔵文化財包蔵地にかかる時間とお金
群馬県前橋市の場合、「周知の埋蔵文化財包蔵地の照会」はFAXで申請してから翌日に回答が来ました。
照会については、かかっても数日で回答が来ると思います。
次に「埋蔵文化財試掘・確認調査」が必要になった場合、届け出を提出してから、埋蔵文化財の試掘・調査まで2週間から1ヶ月程度かかり、結果が出るまでさらに約1週間程度かかるようです。
最後に「埋蔵文化財発掘(工事)届」は、工事着工の60日前に提出が原則です。
埋蔵文化財の試掘・確認調査を要しない場合は、1週間から10日で埋蔵文化財保護のための指示事項が送付されるそうです。
埋蔵文化財の試掘・調査が行われない場合でも、60日前には「埋蔵文化財発掘(工事)届」を提出しなければなりませんし、「埋蔵文化財試掘・確認調査」が必要となることを想定すれば、工事着工の90~100日前には「埋蔵文化財包蔵地の照会」をしなければならないことになります。
住宅建設の場合、着工の90~100日前というと、設計契約をいただくよりも前の時期であることが一般的です。
群馬県前橋市で住宅を建設する際は、周知の埋蔵文化財包蔵地の照会を早い時期に行う必要があるようです。
群馬県前橋市では、『周知の埋蔵文化財包蔵地の現状保存が不可能となるような工事となった場合は、工事主体者(=施主・事業主)が費用を負担することになる』とあります。
ただし、施主本人が住むための個人住宅を建築する場合には、市が費用を負担してくれるようです。
また、試掘・確認調査の費用は、市の負担となります。
※以上が原則のようです。具体的な対応については、前橋市教育員会にお問合せください。
■まとめ
今回、群馬県前橋市で行った周知の埋蔵文化財包蔵地への対応について書かかせていただきました。
市町村により周知の埋蔵文化財包蔵地への対応は違いますので、それぞれの場合でご確認いただければと思います。
過去の体験として、
・周知の埋蔵文化財包蔵地について、ネットで情報公開している県も増えています。しかし、詳細な位置情報や境目は役場に直接問合せしたほうが無難です。
・周知の埋蔵文化財包蔵地の照会は、役所の窓口に直接行かないと教えてもらえない市町村もあります。
・一般的に、周知の埋蔵文化財包蔵地のデータは教育委員会が管理していますが、委員会が役所の建物内になく、公民館や民俗資料館の中など、全く別の場所にあることもあります。
直接訪問する場合は、事前に電話で確認することをおすすめします。
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