家づくりを始める初めの段階で、費用の目安がわからないと、家づくりの計画が立てられません。家づくりに含まれる費用とは、建築費と付帯工事費、諸費用の総額です。加えて、土地も購入しなくてはなりません。家の広さや建築方法によって、家づくりにかかる費用には、大きな幅が出てきます。それでは、4人家族がゆったり暮らせる家を、注文住宅で建てた場合、どの程度の費用がかかるのでしょうか?
注文住宅の家づくりにかかる費用
建売住宅の場合、すでに家が完成しているので、住宅の価格には、建築費と付帯工事費の一部が含まれています。したがって、実際に必要な費用は、住宅の価格と付帯工事費と諸費用の一部だけです。しかし、注文住宅の場合、建築費(本体工事費)と付帯工事費、土地の価格の上限が決まっていないので、かかる費用の目安をつけにくいという不安があるのではないでしょうか?
建築費(本体工事費)は、土地を別にすると、家づくり費用のうち、約7割を占めます。そして、土地の価格は、地域によって大きく変わるので、建築費より高額な場合もあります。
付帯工事費は、地盤改良、給排水、ガスや水道の引き込み、外構などにかかる工事費と、照明やカーテン、家具などにかかる費用です。地盤の強度や、道路との位置関係など、土地の持つ条件によって、かかる費用は変わってきます。地盤が軟弱、道路から遠くガスや水道の引き込みが困難というような悪条件が重なったり、贅沢な造園工事をしたり、こだわりの外構にしたりしなければ、全体の2割程度で納まります。
残り一割は、諸費用です。諸費用には、住宅ローンの事務手続きにかかる費用や、登録免許税、印紙税などの税金、土地も購入する場合には、つなぎ融資費用、火災保険料や地震保険料、引っ越し費用、地鎮祭や上棟式の費用などが含まれています。
これらの費用を全て合わせた場合、平均的にはどの程度の費用がかかっているのでしょうか?2020年8月に公表された2019年度 フラット35利用者調査を見てみましょう。
*【フラット35】は、全国300以上の金融機関が住宅金融支援機構と提携して扱う「全期間固定金利型住宅ローン」です。全期間固定金利なので、返済額が変わらない安心感があります。住宅ローンには、その他に、民間の金融機関だけで組む方法もあります。民間の金融機関の住宅ローンの場合は、変動金利、または固定期間選択型から、返済方法が選べますが、全期間固定金利はありません。変動金利は、金利が下降すると返済額が減りますが、金利が上昇すると返済額が増えてしまいます。
2019年にフラット35を利用して、建築された注文住宅の件数は、11,666 件、土地付き注文住宅の件数23,291 件です。注文住宅の所要資金の全国平均は、3,454万円、土地付注文住宅の所要資金4,257万円です。地区別にみると、首都圏が最も所要資金の額は高く、注文住宅は3,772万円、土地付注文住宅は、4,993万円です。
ここ数年来、新築住宅に必要な所要資金は、年々上昇していますが、世帯年収は、ほぼ横這いです。その結果、注文住宅の床面積は、2014年度以降6年連続で縮小し、2019年度の全国平均125.8㎡、土地付注文住宅の床面積は、2年連続で縮小し、全国平均111.5㎡という調査結果になっています。
一方、国土交通省が目指している理想の居住面積(一般型誘導居住面積水準)は、2人以上の世帯25㎡×世帯人数+25㎡です。一般型誘導居住面積水準とは、「世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準」とされています。
夫婦と子供二人という平均的な家族構成であれば、125㎡の床面積を備えた住宅が、理想の居住面積を満たせるということになります。土地の価格も建築費も、高額な首都圏において、125㎡の床面積を備えた住宅を建築するには、フラット35の調査結果で割り出された平均所要資金よりも、高額な費用がかかることになってしまいます。そこで考えたいことは、建築費と土地の購入費をそれぞれ平均より抑えるということです。
相場より安く家を建てる方法
建築費を抑えるとは言っても、建築費を抑えたために、納得のいかない家づくりになってしまっては、生涯、後悔することになってしまいます。家族構成と家族の暮らし方、家族の価値観に見合った家でなければ、暮らしやすさを得ることはできません。
参考の為、先ほどの一般型誘導居住面積水準に示されている指針を見てみましょう。
基本的機能
「個人のプライバシー、家庭の団らん、接客、余暇活動等に配慮して、適正な水準を確保する。」
- 家族それぞれが、自分の時間を持てる部屋があること=子供部屋、夫婦の寝室、書斎など
- 家族が全員で団欒を楽しめる部屋があること=ゆったりしたリビングルーム
「専用の台所その他の家事スペース、便所(原則として水洗便所)、洗面所及び浴室を確保する。」
- 家族の動線に合った位置にあり、使い勝手が良く、清潔な水回りがあること=キッチン・トイレ・洗面所・浴室
「世帯構成に対応した適正な規模の収納スペースを確保する。」
- 家の中のすべての場所が、常にすっきりと片付くよう、家族の動線に合った位置に、収めるもののサイズに合った収納スペースが設けられていること=玄関やリビングなどの家族で使える大型クローゼット・ロフトを利用した収納スペースなど
居住性能
- 家族の安全を守る性能=耐震性・防火性・防犯性
- 快適な室内環境を調える性能(日当たりと風通しが良く、シックハウスの不安がない室内環境)=断熱性・採光・室内空気環境(内装材等からの化学物質、石綿等の汚染物質発生防止、換気等について、適正な水準を確保)
- 住宅を長持ちさせるための性能=構造躯体の耐久性・維持管理等への配慮
外部性能
- 環境性能 自然エネルギーの利用によって省エネを目指す(太陽光パネルなど)
- 外観 周辺の景観に調和する外観デザイン
これらの要素を何一つ失うことなく、建築費を相場より抑えることができれば、理想的な家づくりが実現できます。では、どのような方法で、建築費を抑えられるのでしょうか?
住宅そのものに関する要素
シンプルな形状の家にすることで、建築費が抑えられます。L字型や、コの字型の家、袖壁や下屋の多い家、屋根の面が多い家など、住宅の形状が複雑になればなるほど、建築費は嵩んできます。シンプルな箱形+片流れ屋根の家は、最も建築費を抑えられます。
また、床面積を効率よく使える設計デザインも、建築費を抑えます。家族の団欒の場であるリビングには、十分な床面積を使う代わりに、廊下や玄関ホールなどを極力なくすことで、床面積を効率よく配分できます。
収納スペースの作り方もポイントの一つです。収納は、多く設ければ家の中が片付くというものではありません。収めたい物を、収めたい時に、収められる位置にある収納、収めたい物を無駄なく収められるサイズの収納が、活きた収納、使い勝手の良い収納です。そのような収納があれば、数多くの収納スペースを作る必要はなく、床面積の節約ができます。
施工の依頼先に関する要素
注文住宅は、一般的に、ハウスメーカー、または工務店に依頼します。ハウスメーカーと工務店で、同程度の性能の家を建てた場合、工務店で建てる方が、建築費を抑えられます。ハウスメーカーは、消費者に夢を売るために莫大な費用を使っていて、その費用がハウスメーカーの建築する、一軒一軒の家の建築費に含まれているからです。
工務店の建築する家には、そのような費用が含まれません。その結果、同じ性能を持つ家を、ハウスメーカーより抑えた価格で建築できるのです。
1,000万円代の建築費で実現する無垢材の家の建築事例
行方市の平屋|こどもにやさしい無垢材内装の子育て住宅
天然無垢材の心地よさと太陽光発電のエコな暮らしができるシンプルモダンな平屋建ての家です。
延べ床面積 | 79.49㎡(24.0坪) |
---|---|
価格帯 | 本体価格 1,000万円~1,499万円(税別) |
LDKの広さ | 16帖 |
nLDKタイプ | 平屋 2LDK~3LDK+ロフト |
仕様 | Woody |