1000万円台の注文住宅は予算を抑える為の制限でメリットを生む
建築費を抑える為には様々な方法があります。一般的には、廊下や玄関ホールを作らない、居室を細かく区切らない、2階建てなら総2階建てにする、コの字型やL字型、袖壁の多いデザインというような面の多い形状にせず、できるかぎり箱型にする、屋根は片流れ屋根、又は切り妻屋根にし、屋根の面を少なくするというような方法です。
「そんなに制約があったら自分たちの思い通りの家にならないのではないだろうか?」というような、注文住宅とは名ばかりで、外観も間取りも予算を抑える為の制限が多く、理想の家にはならないのではないかという不安を感じる人もいるのではないでしょうか?
確かに凝った外観デザインの家、独立したキッチンや広い玄関ホール、通行するだけに使う廊下がふんだんにあるというような豪邸には、制限になってしまうかもしれません。しかし、シンプルで快適な家という観点から考えた時、予算を抑える為の制限が予算を抑える以外の面で良い方向に働く可能性もあります。
シンプルな屋根は機能性が高い
屋根の大きな役割の一つは、雨水を家の中に侵入させず地面に流すということです。多くの人が親しみを感じる切妻屋根や、スタイリッシュな雰囲気の片流れ屋根は、屋根の中で最も予算を抑えやすい屋根であると当時に、雨水を流す能力が高い水はけの良い屋根です。
下屋の少ない家は雨漏りのリスクが低い
2階建て住宅の1階部分に下屋が設けられている家は、日射遮蔽や、軒下の壁の保護に役立つ一方、外壁が経年劣化した際に下屋と外壁の継ぎ目部分から雨漏りをするリスクがあります。
居住面積を増やせる
シンプルな方形の家は1階部分と同じだけの床面積を2階部分でも得られるので、2階が1階より小さい家よりも、家族が使える居住面積が拡がります。その結果、子ども部屋を子どもの人数分造ってあげられる、書斎を設けられるなど、ゆったりした家が生まれる可能性が高まります。
間取りの融通が利く
凹凸の多い家と違って正方形、長方形の家には間取りプランが作りやすいという良さがあります。また、長く暮らすうちに発生するライフステージの変化による間取り変更に対しても、融通が利きやすくちょっとしたリフォームで新たなライフスタイルに対応する間取りに変更できます。
一般的にはどの程度の資金を用意して家づくりをするご家族が多いのでしょうか? 参考資料 2020年度 フラット35利用者調査
■ 平屋の中には、ローコストな規格住宅があります。特に1LDK~2LDKのコンパクトな平屋は価格が安いタイプが多くあります。ただ、規格住宅には、自由に間取りを決められないという面があり、こだわりのある人には向かないかもしれません。家族構成や家族の暮らし方にあっていて、こだわりを活かせる注文住宅での平屋の価格はどのくらいなのでしょうか?
1000万円台の注文住宅を快適な空間にする為の考え方
廊下や広い玄関ホールを設けない、細かく個室を区切らないという間取りは、冷暖房の効率という面から考えると、有利に働かせることができます。日本ではいまだに本来の意味での暖房をしている家は多くありません。どちらかと言えば、家族のいる場所だけを暖める採暖という方法が多くとられています。
その結果、暖房をしている部屋と廊下や玄関など、暖房をしていない場所との温度差が大きく、快適さが損なわれる温熱環境が生まれていました。これから新築する住宅には、家全体が冬は暖かく、夏は涼しい快適な環境が求められます。そしてそれを実現する為に、シンプルな間取りが貢献します。
リビングとダイニングキッチンが繋がっている、吹き抜けで1階と2階の空間が繋がっているなど、空間が繋がっている間取り家は、少ない台数の冷暖房機器で、家全体を効率よく暖められます。快適な温熱環境を創りたいという想いで、新築時に床暖房や全館空調を採用すると、建築費が嵩んでしまいます。居室が細かく区切られている家では、居室ごとにエアコンを設置しなくてはなりません。
冷暖房機にかかる費用を抑える為には、少ない冷暖房機器で家中を冷暖房できること、高額な導入費用がかからないこと、また暮らし始めてからの光熱費が抑えられることという3つの条件が必要です。
少ない冷暖房機器で家中を冷暖房する為には、家の中の空間が繋がっている間取りが最適です。そして、シンプルな家には家の中の空間を繋げ、空気を循環させる間取りにしやすいという良さがあります。
高額な導入費用をかけずに効率の良い冷暖房機器を設置することを考えた場合、床下エアコンと小屋裏エアコンという方法が選択肢として挙げられます。全館空調は素晴らしい設備ですが、200万円から300万円の導入費用がかかり、さらに年度毎にメンテナンスをしなければなりません。床暖房は、全館空調ほどではありませんが、電気式でおよそ60万円、温水式で約80万円程度の導入費用がかかり、2~3年ごとに不凍液の交換をしなくてはなりません。
床下エアコンと小屋裏エアコンの場合、一般的なエアコンを使うので、20万円以内で導入できます。暖房用には床下エアコン、冷房用には小屋裏エアコンの2台が必要ですが、この2台と空気が循環する間取りと十分な断熱性の組み合わせで、家中を快適な温度にすることができます。
ただ、この方法で効果を得る為には。基本的な住宅の断熱性能が求められます。そして住宅の断熱性の高さと、効率の良い冷暖房の方法が省エネ住宅を生み出します。
参考サイト 経済産業省 諸エネポータルサイト ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
■ ZEHは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称で、ゼッチと呼ばれています。エネルギーの消費量を減らす、エネルギーを創り出す、断熱性の高い家にするという3つの要素を組み合わせ、家庭で使うエネルギーは、自分の家で創り出すことを目指す家です。1,500万円台に目を向けると、ZEHも選択肢に入ってきます。
1000万円台で実現した暮らしやすい間取りの家 建築事例
注文住宅には費用を抑える為にシンプルな外観にする、広い玄関ホールや廊下のない間取りにするという制限があったとしても、それを活かして暮らしやすい家を実現する力があります。具体的な事例を間取り図と共にご紹介します。
スタイリッシュな片流れ屋根の平屋
解放感のあるリビングとアイランドキッチンがおしゃれな平屋です。
25.5帖の広さと勾配天井で大空間のLDK
上部には見せる収納、向かって左手には間口が広く、奥行きが浅い物を取り出しやすく、片付けやすい収納が設けられています。
広い玄関ホールの代わりにウォークスルーの家族用玄関兼シューズクロークと、来客用の通路が設けられています。
ハイサイドライトからの陽射しで明るい家族用玄関兼シューズクロークの内部
この住宅はスタイリッシュな外観と開放感のあるリビング、暮らしやすい動線のある間取りに加えて、快適な暮らしを維持する断熱性能、家族の安全を保障する耐震性能を備えた長期優良住宅です。
延べ床面積 | 110.96㎡(33.5坪) |
価格帯 | 本体価格 1,000万円~1,499万円(税別) |
LDKの広さ | 25.5帖 |
nLDKタイプ | 平屋 4LDK |
仕様 | Open |
こどもにやさしい無垢材内装の平屋
子育てに備えての家づくりに求められる見守りのしやすい間取りと、子供の心と身体の成長を育む無垢材の良さを持った子育て住宅です。
無垢材にはシックハウス症候群の原因の一つであるホルムアルデヒドが含まれていないので、子育て住宅にはぴったりの建材です。
リビングには続き間の和室があり、子供が遊んでいる様子をキッチンやリビングから見守ることができます。
子供の成長に合わせて将来2部屋に分ける、勾配天井を利用してロフトを造るなど可変性に配慮して設計された子ども部屋です。
片流れ屋根には水はけの良さの他に、他の屋根の形に比べて多くの太陽光パネルを載せられる、角度を工夫することで、太陽光を効率よく取得できるという良さもあります。
延べ床面積 | 79.49㎡(24.0坪) |
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価格帯 | 本体価格 1,000万円~1,499万円(税別) |
LDKの広さ | 16帖 |
nLDKタイプ | 平屋 2LDK~3LDK+ロフト |
仕様 | Woody |