外観も、内装も、間取りも、住宅性能も、すべて自由にできる注文住宅は、家族の暮らしにあった快適な家を実現します。その一方、何もないところから始めるので、家づくりにかける準備期間が必要です。どこから手を付けてよいかわからない…すべて自由にできる分、考えなくてはならないことがたくさんあります。
夢を詰めこむばかりでは、注文住宅には、規格がないので、予算も、どんどん上昇していきます。家づくりを成功させるためには、限られた予算内で、優先順位を決めていかなくてはなりません。家づくりをする上で、おすすめしたい優先するべきことについて、考えていきましょう。
おすすめしたい優先順位の一位は住宅性能
日本は地震の多い国です。昨年11月末から、12月の初めにかけて、関東地方が震源地である、震度1以上の地震は16回発生しました。12月に発生した、茨城県北部を震源とする最大震度4の地震は、1回では終わらず、次の日も続き、2日間で震度3以上の地震が、5回も発生しました。この地震は、東日本大震災の余震と考える学者もいますが、首都圏直下地震につながるという意見を持つ学者もいます。
どちらにせよ、正確な地震発生の予測はできないという現実がある以上、「耐震性能の高い家を建てる」ということは、絶対に外せません。したがって、家づくりにかける予算の中での優先順位の一位は、耐震性能です。
次に大切な住宅性能は、断熱性です。断熱性とは、家の中に出入りする熱の量を抑える性能です。どんなに冷暖房をしても、夏は、たくさんの太陽の直射熱が家の中に流入し、冬は、多くの暖房の熱が、家の外に逃げだしてしまえば、心地よい室温は維持できません。夏は暑く、冬は寒い家、家の中の温度差が大きい家という室内環境の家では、家族の健康は守れません。
さらに、そのような室内環境では、室内を適温にするために、冷暖房を最大限、稼働しなくてはならないので、エネルギーの無駄遣いになり、光熱費も嵩みます。冬は暖かく、夏は涼しく過ごせる家、エネルギーの無駄遣いをしない家、光熱費を倹約できる家にするためには、「断熱性の高さ」を優先させる必要があります。
おすすめしたい暮らしやすさに直結する要素
「居心地の良い家、暮らしやすい家を実現するために必要な要素」について考えてみましょう。
■ 暖房設備
新築時に迷うことの多い設備の一つが、暖房設備です。置き型の暖房器具は、住宅完成後に設置できます。しかし、床暖房、床下エアコン、置き型エアコンなどは、新築時に設置した方が、費用の無駄が抑えられます。ただし、抑えられるとは言っても、床暖房の種類によっては、100万円以上の費用がかかるので、多くの人が設置に迷うのです。寒さの厳しい地域では、必要度の高い設備ですが、家を建てる地域の気候によっては、それほど必要ない場合もあります。
茨城県の中でも、鹿嶋市や神栖市などの南東端部、北茨城市や日立市、高萩市などの北部沿岸部は、海洋性の気候です。冬はそれほど冷え込まず、夏は涼しい過ごしやすい地域です。このような地域では、他の予算を削ってまでは、床暖房を設置する必要はないでしょう。
反対に、つくば市や龍ケ崎市、水戸市などの中央部から南部平野部へかけての地域、常陸大宮市や常陸太田市、大子町などの北部山間部は、冬の寒さが厳しい地域です。このような地域では、暖房機器への優先順位を、高めておいた方が良いかもしれません。
床暖房は、費用がかかりすぎるが、効率の良い暖房設備を設置したいという場合には、床下エアコンという選択肢もあります。床下エアコンとは、一般的な壁かけエアコンを、新築時に床下に設置し、暖房器具として使う方法です。この方法は、エアコンメーカーが推奨している方法ではありませんが、床暖房よりはるかに費用を抑えられます。
ただし、床下エアコンが有効に使える要素として、土台が、断熱材で覆われている基礎断熱であることと、断熱性と気密性の高い家であることが、求められます。また、「床下エアコンとして、使い勝手の良いエアコン」の種類も限られています。床下エアコンの設置経験のある工務店であれば、「床暖房は費用がかかるので、床下エアコンにしたい」という旨を伝えれば、相談に乗ってもらえます。
■ ロフト
新築で後悔していることの中で、意外に多いのがロフトです。作ったけれど、使い勝手が悪くて使っていないというケースです。この理由は何でしょうか?その一つは、収納のしづらさです。ロフトの階段が、折り畳み式、または梯子式だった場合、衣装ケースなどを、抱えての上り下りが難しいからです。家族の誰かが手伝ってくれなければ、収納できないこともあるでしょう。もし、固定式の階段であれば、両手に荷物を抱えていても、安全に昇り降りができ、楽に収納できます。
もう一つ考えられることは、暑さと寒さです。「子供部屋として使おうと思っていたが、夏は暑くて、使えない」「冬は、暖房の熱がロフトに上がってしまい、階下の部屋が寒い」というようなことがおこるのです。しかし、断熱性の高い家であれば、そのような問題が起こりません。
子供部屋は、子供が独立すれば、いらなくなってしまう部屋です。ロフトを子供部屋として使えれば、子供部屋を作らず、リビングを広くできます。リビングが広くなれば、家族全員が居心地よく過ごせるリビングが、より快適になります。また、子供はロフトのような隠れ家的なスペースが大好きです。住宅の断熱性の高さと、固定式階段がついたロフトの組み合わせがおすすめです。
■ 玄関~リビングの収納スペース
収納スペースの使いやすさの条件は、2つあります。収納しやすい位置にある、収納するものの大きさにあっているということです。収納しやすい位置とは、家族の暮らし方と動線にあっている位置であり、収納する人の背丈にあっている位置でもあります。
家族が家にいる時間は、ほとんど全員が、リビングで過ごすという家族の場合、玄関、または玄関からリビングへの中継地点や、リビング内に設置するファミリークローゼットがおすすめです。リビング中心の間取りでは、玄関からリビングに直行する動線が、考えられるからです。玄関~リビングに収納スペースがあれば、自分の部屋に戻らずに、外出時の上着や、荷物を収納できるので、リビングが散らかりません。
そして、ウォークインタイプの大型収納は、内部を家族構成や、収納するもののサイズに合わせて、棚やパイプハンガーを設置できます。小さな子供でも手が届く棚の高さ、家族分のコートや、上着が収納できるだけのパイプハンガーなど、家族に合わせて作ると、使いやすい収納が完成します。玄関に作る場合は、土間収納と組み合わせられるので、スポーツ用品、ベビーカーなども収納できます。
■ 洗面所内の家事スペース
ほとんどのご家庭では、洗面所内に洗濯機を置きます。そこで、洗面所内に、洗濯物を干すスペース、アイロンをかけるスペース、下着やパジャマなど、入浴後に使う衣類を、収納するスペースがあると便利です。
浴室乾燥の設置も、迷う人が多い設備ですが、洗面所から、洗濯物を干す場所までの距離が遠い場合、浴室乾燥があると、家事の時短ができます。ただし浴室乾燥は、導入時だけではなく、ランニングコストがかさむことも考えておく必要があります。その点、洗面所内に洗濯物を干すスペースを作っておくと、電気代もかからず、洗濯物を干したり取り込んだりする時間を節約できます。
また洗面所内に、アイロンをかけられるスペースと、パジャマや下着を収納できるスペースがあれば、洗濯物を干す場所と、アイロンをかける場所、衣類を収納する場所の往復が減らせます。
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住宅性能は、家族構成や、家族の暮らし方にかかわらず、絶対に譲れない要素ですが、その他の要素は、家族構成や家族の暮らし方、地域の気候によって、優先度が変わってきます。大切なことは、家族構成や家族の暮らし方、地域の気候に合わせて、優先順位を決めることです。家族の暮らしにあった理想的な家づくりが、居心地がよく快適で安全な家を実現します。
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コンパクトで開放的、木の香りと居心地の良さに包まれた快適空間の住まいです。
ロフトへは、固定階段で上がります。
広々とした風が通り抜けるロフト